2018.08.01 Wednesday/20:50 |
福島第一原発事故で可視化されたもの。 |
それは東京に拠点を置く国家と資本の権力が、
「周縁」に対する構造的差別の強化を通じて
周縁地域に汚染リスクを押し付けようとするプロセスであり、
同時にその差別構造に由来する形で、様々な立場の住民たちの
間に分断や差別の多重化をもたらすプロセスでもあった。
差別の複雑化、多重化が進行するとき・・
その差別の影響を最末端で受ける当事者の間に
ある種のわだかまりのようなものを熟成させてしまう。
逆に言えば、一見最大の弱者を代表するかに見える言説が、
実際には当事者たちの内側に亀裂を持ち込むばかりでなく
その言説にそぐわない声を抑圧しかねない。
この現実にもっと敏感になる必要があるだろう。
避難指示区域からの強制避難者、自主避難者、残留者の
間に区別を設けて、その区別に基づいて何れかの
立場を批判するような言説は、厳に慎まなければならない。
「脱原発の哲学」より。
この最期の言葉を「自主避難者」を応援する立場からも
しっかり留めておきたい。