2018.01.31 Wednesday/20:38 |
普通の市民は人を殺せない |
「戦争のおける人殺しの心理学」を書いた元陸軍士官学校の
教授デーブ・グロスマンによると
第一次世界大戦のとき、初めて戦場に出た兵士はほとんどが
空に向けて発砲していた。
第2次世界大戦時のアメリカ兵が敵に遭遇したときの
発砲率は15%〜20%。
人は本能的に人を殺せないのである。
しかし、朝鮮戦争では発砲率が60%に上がる。
ベトナム戦争では90%を超えた。
この数字の変化は新兵訓練の結果だ。
新兵訓練では条件反射で銃を撃つ訓練を繰り返す。
人と認識したら撃てない。
だから、人と認識する前に、反射的に引き金を引く訓練である。
それまでの標的は単なるモノだったが、人の形をした標的が
使われるようになる。
標的はさらに改良され、いきなり起き上がってくる
ポップアップ式になった。
突然現れた人の形をした標的を撃つ。条件反射の訓練である。
この訓練を続けていると実践でも突然現れた敵は「標的」であり
引き金を引くことを躊躇しなくなる。
発砲率を上げるためのもう一つ、「心理的訓練」
「まずは敵を人間以下だと教えます。
ベトナム人は銃を真っすぐ撃つことさえできないと教えました。
あいつらの目は細くてよく見えない。アメリカ人の丸い目とは
違うんだとね。敵を殺させるには相手が人間だという感覚を
徹底的に奪っておくことが重要です。
なぜなら、敵も同じ人間だと感じた途端、殺せなくなるからです。」
(戦争のおける人殺しの心理学)
これは戦前の日本人が抱いていた侮華(チャンコロ)思想ではないか。
侮華思想だけでない、東南アジアの人たちに対しての「土人思想」も
同様な結果を生んでいる。人を見下すという思想は狂気に導くのだ。
だが、狂気に導かれた人間も無傷ではすまない。
戦場の殺人が狂気の仕業であっても、殺人の事実は消えない。
その記憶は長く本人を苦しめることになる。
「戦争の大問題」丹羽宇一郎 著より参照
「