2019.02.26 Tuesday/21:54 |
宝島 戦果アギヤー |
これこそ、今旬だな。分厚いけど面白くて一気に読了。
戦後間もない沖縄。鉄の暴風と呼ばれた戦火を
生きながらえた孤児たちは、
もらうか、拾うか、盗むかしか選択肢はなかった。
そんな中、戦果アギヤーという米軍基地から物資を盗んで
貧困者に配るという孤児の義賊たちがいた。
ある日大掛かりな強奪計画をするが、基地内で発覚。
拘束されるもの、殺されるもの、なんとか逃げおせたもの
リーダー格の「オンちゃん」はその日を境に行方しれず。
どうやら、予定外のとんでもないものを盗んだらしく
アメリカの諜報組織や、戦中日本の秘密警察が寝返った
アメリカと本国のために動く工作員が、その「オンちゃん
を血眼になって捜すが・・・
「オンちゃん」の弟はヤクザに、親友は警察官、恋人は
教師になるが、それぞれに喪失感を背負って生きる青春。
瀬長亀次郎やヘリの学校墜落事件、数ある米軍の
暴行事件など実際あった話がふんだんに盛り込まれている
これが、1977年東京生まれの作家とは。あっぱれ。
このくらいの想像力があれば、無関心なんかでいられない